嫌いな教授の話

嫌いな教授がいる。

なにもかも、波長が合わない。

恐らく向こうも同じように思っているであろう。

水曜日の朝っぱらから、嫌いな人間と顔を合わせねばならないのだから、たまったものじゃない。

いや、嫌いな人間と顔を合わせるのなんて、いつなんどきでも嫌なのだが。

週の真ん中の朝くらい、もう少し爽やかに迎えさせてくれ。

しかも火曜日は七限まであって、就寝は1時過ぎ。それで朝は6時には起きて、その教授に会いに行く……バカバカしすぎる。睡眠時間返せ。

私とて、何も理由なくその教授のことを嫌っているわけではない。それなりに理由はある。

まず、その授業は院の専門科目であるということもあってか、受講生は少ない。今年度は何と、私をいれて2人である。2人だぜ?

で、この2人と言うのが、この授業を私にとってより地獄絵図と化させている。

仮にそのもう一人の受講生をAさんとしておく。

例えばAさんが発表する。すると教授は手放しでほめる。「Aさん、良く気づいたね」「Aさんは頑張っていて偉い!」

で、そのあと、きちんとこう続けてくださる。私、シロキに向かって、

「シロキさんも頑張って」

ほう。私は頑張ってないと。どれだけ意見を述べて、調べ物をして、質問に答えても頑張ってないと!

しかも納得がいかないのが、私とAさんの発言の質は、正直ほとんど同じであるということ。

また、私が発表している間の教授の態度。これも嫌いだ。

話しが前後するが、この授業は、とある論文集に掲載されている論文について、受講生が順繰りにまとめて発表すると言うもの。輪読、というのだろう。

レジュメをつくって、それに沿って発表する。

のだが。

私の発表を聞いている時の教授の態度の悪いこと。

手足はもぞもぞ、まあ、つまらなさそうにしている。ガタガタと机やいすの音をたてながら動くものだから、目ざわりったらありゃしない。

私の発表がつまらないのは認める。

だけど。

もうすこし大人しく聞けよ。

せいぜい10分の発表だろうがよ。

Aさんのときは大人しくしているくせによ。

てめえ、もう50過ぎの大人だろ。

22歳相手に大人げねえと思わないのか。

しかも、発表後のダメ出しは、

「レジメの行間が狭い」

というもの。

読みづらいという意味かと思ったら、

「行間に字を書きこめない」

お前、行間に何書くんだ。

ていうか、余白なら他にもあるだろ。

そこにメモしたいなら書けよ。

……といえるはずもなく、はい、すみませんと謝り、その次の発表では行間をあけて作成。

……あの教授、発表中、レジュメに書き込むようなそぶりを見せていなかったぞ。

どういうことだ。

他にもダメ出しとしては、

「声が暗い」「抑揚つけて発表して」

これ、私だけにいわれたんだけど。抑揚がないのはAさんも同じなのに、私だけ声に表情がないとか。ぼろくそに。声って、生まれつきのもので、暗いといわれてもね。喋り方が暗い、ならまだしも。

どれだけ頑張って調べて、どれだけ頑張ってレジュメ作って発表しても、意味の分からないダメ出しで終わる、いやな時間。

しかもAさんとあからさまに比較され、けなされながらだから余計にしんどい。

一つ、救いがあるとすれば、そいつが他大の教授であるということか。

他大の教授なので、水曜日1限が終わると自分の大学へさっさと帰って行く。

キャンパスを歩いている時、ばったり出会うことがないというのは救いだ。

はやく春学期が終わって欲しい。

嫌なことばかりだけど、この時間は突出して嫌だ。

良いことはないのに、嫌なことはなんでこんなにたくさん続くんだろう。